広島市中区で、美味しいピザが人気のイタリアン。紙屋町にある「Pizzeria Bar ARIETTA(アリエッタ)」では、ワインと合わせてお洒落に。そして、十日市町にある「Birreria e gelateria ARIETTA VERDE(アリエッタ ヴェルデ)」では、クラフトビールと合わせてカジュアルに。雰囲気や楽しみ方が異なる2つの店で、伝統的な本場の製法を踏襲した絶品の石窯焼きピザを同じ味わいでご堪能いただけます。お食事は、お料理やお飲み物に関わる歴史や背景を知るほど、より深く楽しめるもの。ここからは、連日沢山のお客様がその味を求めてご来店くださる当店名物のピザについて、少しお話をさせていただきます。
- この物語は、ナポリピッツァを愛する方、そして、ナポリピッツァをもっと知りたい方へ贈る物語です。
- むかしむかし、16世紀後半に、私たちが現在食べているピッツァは生まれました。場所はイタリアのナポリ。潮風が香る海辺で、船乗りに愛されたピッツァがルーツなんです。当時のナポリの船乗りは、裕福ではありませんでした。そんな中でもお腹をいっぱいにできる、美味しいものはないか…。そんな時、港まで漂ういい香り。 街のパン屋さんが作っていた、トマトソース、ニンニク、オリーブオイルをのせたパンの香りが船乗りたちの心をくすぐりました。そのパンは、パッと作り、サッと食べられ、安く、とても美味しいものでした。忙しく、裕福ではない船乗りにピッタリだったのです。こうして、ナポリの船乗りに愛されるピッツァは誕生したのです。ナポリでは、水よりもワインの方が安価なこともあり、水の代わりにワインを飲む人が多くいました。イタリアンとワインの相性が良いことも、納得ですよね。船乗りたちも毎日のようにワインとピッツァを合わせ、楽しんだそうです。
- 船乗りが愛したピッツァはやがて街に広まり、魚介やお肉などの具材を合わせた様々な味のピッツァが生まれていきました。トマトソースにモッツアレラチーズ、バジルを乗せたピッツァは中でも人気が高く、沢山の人々が喜んで食べていたそうです。当時のイタリア王妃がそのピッツァを見て「イタリアの国旗のようだ」と称賛。彼女はそのピッツァに、自らの名前「マルゲリータ・ディ・サヴォイア=ジェノヴァ」の一部をとって名付けました。そう、それこそが、皆様がご存知の「マルゲリータ」です。マルゲリータは、ナポリピッツァの代表として現在も世界中で愛され続けています。…あれ?そういえば、先程の“船乗りの愛したピッツァ”の名前って…。まだこの物語では名前を出していませんでしたね。そのピッツァの名前は、「マリナーラ」。イタリア語で「船乗り」という意味なんです。船乗りが愛したピッツァは、日々仕事に打ち込み頑張る彼らを称えるように、その名前がつけられたのです。
- ナポリピッツァには、それぞれの名前に深い想いが込められているんです。その時その時代にイタリアを支えた人々や、豊かな国でありたいという願いなど…。一つひとつを物語にすると、すごく長い本が完成してしまうかもしれませんね。そんなナポリピッツァの生地に使う材料は、「小麦粉・水・酵母・塩」の4つのみ。生地は手だけを使い伸ばし、焼く際も燃料を木材にすること。心あたたまる物語の数々を繋いでゆくため、この決まりを守ったものだけを「ナポリピッツァ」と呼ぶことができるのです。海を渡りこの日本の地でピッツァを愛し、称賛する職人が想いを引継ぎ、日々ピッツァをつくっています。船乗りや王妃にだって負けないくらい、現代の職人もピッツァを愛しているのです。ピッツァの話は、この物語以外にもたくさんあります。気になる方はお店にて、ぜひお声がけを。
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- 生地
- 本場と同じく、“小麦粉、塩、水、酵母”のみのシンプルな素材で作る生地。その日の天候に合わせて水分の割合や発酵時間を細かく調整し、モチモチ食感に仕上げます。
- 伸ばし
- ナポリピッツァの生地は、手作業で素早く伸ばすのが特徴の一つ。まんべんなく火が通り、どこから食べても美味しくなるよう、均等に仕上げます。
実はソースは、フレッシュトマトのみと、非常にシンプルなもの。実は、口に入れた瞬間にトマトのフレッシュさが感じられる素敵なソースのでき上がりは、窯で焼いて初めて完成します。
- 窯へ
- 生地を伸ばし、食材を載せ、窯の中へ。時間にして約1分~1分30秒で、その工程を行います。なるべく生地にプレッシャーをかけないように、素早くそして丁寧に。これはナポリピッツァの職人ならではの心得です。
400度を超える高温の窯で、一気に焼き上げます。ピザの美味しさを最大級に堪能できるのは、焼きたて熱々の状態の時。楽しく会話に花が咲くひと時の中で、その瞬間ばかりはピザを堪能することに意識を向けていただければ幸いです。
焼きたてピザをより上手に召し上がる、本場の食べ方をお教えします。ナイフとフォークを使うのは、ご自身のお皿に取り分ける際のみでもかまいません。フォークでまとめて頬張るも、手で持ってかぶりつくも良し。難しく考えず、お好きな食べ方でお楽しみください。コルニチョーネと呼ばれる耳の部分も、余さずご堪能くださいね。水分をたっぷりと含んだモチモチの食感で、それたけでも食べたくなる美味しさです。